あの頃、ふたりで。

遠い昔のラブソング

ドライブ日記

塩ダシおでん

君は目をキラキラさせて「おでん」のダシは塩味と醤油味のどっちが好きかと尋ねる。そして自慢気に「おでんのダシは絶対に塩よ」と断言する。醤油ダシを捨てきれない僕が不服を口にすると「北海道のおでんは塩ダシなのよ」と言った。ビックリだった。

じゃがバター

僕が3杯目のお代わりを頼むころ君の頬は微かなピンクに染まり目は心持ちトロンとしている。後回しにしてある話が頭の隅に引っ掛かっている。「車の中での話だけど・・」「ああ、"わかって下さい" の話ね」「メイがメイである限り、僕の『メイが大好き』はず…

わかって下さい

ゆっくりと黄昏の色を濃くして行く帯広の街を、メイが淹れてくれたコーヒーを愉しみながら眺めている。もう少しで大きく膨らんだ太陽のシャワーでこの部屋がローズピンクに染まる。贅沢な時間だった。同じ向きに並んで座り同じカップを持って同じ街並みを見…

富良野プリンスホテル

君は上半身を全部こちらに向けた姿勢に座り直した。「無理をしないでくれるほうが嬉しいし、キチンと相談して欲しい・・」暗くてよく判らないけど、君が真剣な顔をしてることが伝わってくる。胸の辺りがジワッとして、グウの音も出ない。「あと少しで着くか…

北見へ

小さなバッグを抱えた君が駅に入ってくるのが見えた。急ぎ足で来たらしく少し息が上がっている。ホッとした様子の君の額にはほんのり汗が滲んでいる。その姿はとてもいじらく僕はじっとしていられない。抱きしめてしまおうと思った。